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2021/10/13

「萩原朔太郎詩集 Ⅴ 遺稿詩集」(小学館版)「第一(「愛憐詩篇」時代)」 小春

 

  小   春

 

やはらかい土壤の上に

ぢつと私が坐つて居る

涙ぐましい日だまりに

白い羽蟲のちらちらもえ

遠い春日のちらちらもえ。

 

麥よ芽を出せ。

 

[やぶちゃん注:底本では『遺稿』とし、制昨年を推定で大正三(一九一四)年とするが、ほぼ相同の詩篇が筑摩版全集の「拾遺詩篇」に載り、そこでは初出を大正四年六月発行の『街上』とする。以下に初出形を示す。

 

  小春

 

やはらかい、土壤の上に、

ぢつと私(わたし)が座つて居る、

淚ぐましい日だまりに、

白い羽蟲のちらちらもえ、

遠い春日のちらちらもえ。

麥よ芽を出せ。

 

底本のそれは、最早、失われた原稿によるものか。

 なお、筑摩版全集の『草稿詩篇「拾遺詩篇」には、以下の本篇の草稿の三種ある内、二種が載るので、以下に示す。アラビア数字は朔太郎自身が打ったもの。歴史的仮名遣の誤りや誤字などは総てママ。

   *

 

  小春
     ――叙情小曲


1 やはらかい土壌の上に
私のぢつと私がすわつて居る
 ああけふもひねもす遠く
 遠山のが光るよ
 遠い 越後の山に 山の雪が光るよ
 指さきのきずがいたいよむぞよ
6 ああ麥よ芽を出せ
7 麥よ芽を出せ
 ああこゝの羽蟲のちらちらもえに
3 ああけふの春の日ちらちらもえて
 遠山なみの 羽蟲羽光り
4 遠山なみの雪どけに ごろにころに
5 ぢつとみつめるわがこゝろ

 

  小春

やはらかい土壌の上に
ぢつと私が座つて居る
こゝの春日のちらちらもえ
こゝの羽蟲のちらちらもえ
麥よ芽を出せ
麥よ芽を出せ

 

   *

孰れも、本篇とは異なる。]

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