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2021/11/28

萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 遺稿詩篇 ある場所に眠る

 

  ある場所に眠る

 

たいさうふかい綠のかげで

つかれきつた魂がすやすやと眠つてゐた

その靑ざめた手足のうへから

ちひさな蟲けらが這ひのぼつても

しづかに魂をみつめてゐた

しづかに夢をみるわたしのたましひ

しづかに夢をなく

 

ああそこの木立ちの風の行方

夏がきた愉快さに光がおどつてゐる

うれしい五月が私をおとづれた。

 

*標題は「ある場所に眠る」のほか、「ある場所で子供の唄へる」ともあり、これは消してあつた。なほこの作品は末行のあたりが少し曖味になつてゐる。

 

[やぶちゃん注:底本では、標題右下に「*」が附いて、末尾編注に対応させてあるが、除去した。「たいさう」「おどつて」はママ。ただ、この注はやや不審で、末行の附近のどこが曖昧なのか判らない。曖昧なのは、寧ろ、第一連の終りの「しづかに夢をなく」であろう。本篇は筑摩書房版全集では『草稿詩篇「原稿散逸詩篇」』にあるが、小学館版「萩原朔太郞全集」元版の「別册 遺稿上卷」からの転載であり、既に原稿が失われていることが判る。而して、その転載の編注を見るに、私と同じ不審を筑摩版編者が持ったようで、『なほこの作品は〔第一連の〕末行のあたりが少し曖味になつてゐる。』となっている。]

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