萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 遺稿詩篇 おれの部屋
お れ の 部 屋
おれの部屋はせますぎる
けれどもおれはかまはない
おれの部屋の窓からのぞくと海がみえる
おれはいつでも海をみてゐる
海はぎんいろにかがやいてうつくしい
おれはきうくつでもかまはない
さうしておれは自由の身だ
おれが散步にでかけるとき
おれはおれの部屋には用がない。
[やぶちゃん注:「きうくつ」はママ。本篇は筑摩書房版全集では『草稿詩篇「原稿散逸詩篇」』にあるが、小学館版「萩原朔太郞全集」元版の「別册 遺稿上卷」からの転載であり、既に原稿が失われていることが判る。]
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