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2021/11/18

曲亭馬琴「兎園小説」(正編) 希有の物好み

 

   ○希有の物好み

元祿[やぶちゃん注:一六八八年から一七〇四年まで。]の頃、京室町通三條[やぶちゃん注:この中央附近(グーグル・マップ・データ)。]の南に、櫻木勘十郞といふ人ありけり。古器物・書畫の鑑定をも、よくせり。希有の物好にて、衣服より、足袋帶に至るまで、色々の縞を着用し、扇子・脇指柄糸[やぶちゃん注:「わきざしのえのいと」と訓じておく。]・鍔・印籠・草履まで、縞ならずといふ事、なし。朝夕の食物、鱠は、もとより「刻みもの」なり。煮物などにも大根・牛房の類の「すぢ」ある品をもちひ、椀・折敷までも、縞のもやふをぞ、ものしける。されども、「まげて、異を好むに、あらず。只、天性、かくありし。」とぞ。家居も、世にめづらしく、表二楷の格子も、さまざまの唐木にて、縞にくみたて、店先も「堺格子」といふものを立て、此所に大きなる竪貫木[やぶちゃん注:「たてぬきのき」と訓じておく。]ありて、靑貝にて、唐草の模樣あり。「ひさし」の大垂木などは、細き柴竹の寒竹にて、さまざまの縞に、くませ、扨、中庭に泉水ありて、金魚、あまた、はなち置く。そこより、居間の二楷[やぶちゃん注:ママ。]へ階梯を渡したり。其階梯も、唐物作りの擬寶珠、高欄、付けてけり。又、中庭の北面より、隣りの壁まで、縞にぬらせけり。かゝれば、世に「縞の勘十郞」と云ひけるとぞ。

[やぶちゃん注:発表者は同じく客員青李庵。]

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