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2021/11/18

萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 「愛憐詩篇」拾遺 あきらめ

 

  あ き ら め

 

あきらめよ

あきらめよ

わがあきらむることにより

けしき妙なるよもの黎明

さしもに洋紅を流したり

 

あきらめよ あきらめよ

わがあきらむることにより

水盤の瀑流れ出でて

開きしページは靑くうるみたり

 

われはやさしくよきひとなるに

わが側へに立つもの

死魚の裏返る腹を指さし

なにとてかの空しき妖光を敎うるならむ

これを見ること久しきより

わが眼はいしくもただれたり

 

ああ 戶口に樹木あり

よしや花には靈智のゆきかひを求めずとも

わが性のあまりにやさしれば

とく起きいでて窓開らかでやは。

 

[やぶちゃん注:「敎うる」はママ。

「洋紅」は「やうこう(ようこう)」で深紅色及びその系統色である「カーマイン・カーミン(carmine)」・「カルミン(karmijn:オランダ語)」・「コチニール(cochineal)」・「マゼンタ(magenta)」(現代中国語では「マゼンタ」を「洋紅色」と訳す)などの顔料を指す。無論、「やうべに」とも読める。万一(後掲する別稿では「ページ」と読み換えているが)、「洋紙」を「やうし」と読んでいるなら、ここは「やうべに」でなくてはバランスが悪い。

 さて、筑摩版全集では、まず、第二巻の「習作集第九卷(愛憐詩篇ノート)」の中に、一見似て見えるものの、その実、かなり異形の一篇が載る。

   *

 

 あきらめ

 

あきらめよ

あきらめよ

わがあきらむることにより

銀盤に瀑流れ出でゝ

開きし洋紙は靑くうるみたり

 

われはやさしくよきひとなるに

わが側へに立つもの

死魚の裏返る腹を指さし

なにとてかの空しき妖光を敎ゆるならむ

 

あゝ戶口に樹木あり

よしや花には靈智のいきかひを求めずとも

わが心あはれみにすぎたれば

とく起き出でゝ窓開らかでやは

 

あきらめよ

あきらめよ

わがあきらむることにより

景色たへなるよもの黎明(れいめい)

さしもに洋紅を流したり

 

   *

全体の対構造の整った様子からは、上記が洗練されているが、その分、陳腐で面白くない。私は俄然、本篇を支持する。なお、筑摩版全集では、第三巻の『草稿詩篇「第八卷・第九卷」』に本篇が載るが、小学館版元版からの転載に過ぎない。]

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