萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 斷片 (無題)(ひとのからだといふものは不思議なものだ)
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ひとのからだといふものは不思議なものだ
おれはあるとき强いゴムをかむでゐた
いつしよけんめいでゴムをかむでみた
けれどもゴムのしんはかみきれなかつた
ひとのからだはゴムのやうなものだ
病人のからだのしんに
おそろしいゴムの力はねばりついてゐるのだ
ゴムでできてる人たちは
[やぶちゃん注:本篇は筑摩書房版全集では『草稿詩篇「原稿散逸詩篇」』にあるが、小学館版「萩原朔太郞全集」元版の「別册 遺稿上卷」からの転載であり、既に原稿が失われていることが判る。]
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