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2021/11/24

萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 拾遺詩篇 疾患光路 / 筑摩版「拾遺詩篇」所収の「疾患光路」の別稿

 

  疾 患 光 路

 

我れのゆく路

菊を捧げてあゆむ路

いつしん供養

にくしんに血をしたたらすの路

肉さかな、きやべつの路

電車軌道のみちもせに

犬、畜生をして純銀たらしむる

疾患せんちめんたる夕ぐれの路

ああ 素つぱだかの聖者の路。

 

[やぶちゃん注:底本の「詩作品發表年譜」によれば、大正三(一九一四)年十月の作とし、初出誌を大正四年一月発行の『水甕』とする。筑摩書房版全集でも「拾遺詩篇」に載り、同雑誌の同年一月号とする。但し、その初出とは微妙に異なる箇所がある。以下に示す。

   *

 

 疾患光路

 

我れのゆく路、

菊を捧げてあゆむ路、

いつしん供養、

にくしんに血をしたたらすの路、

肉さかな、きやべつの路

邪淫の路、

電車軌道のみちもせに、

犬、畜生をして純銀たらしむる、

疾患せんちめんたる夕ぐれの路、

ああ、素つぱだかの聖者の路、

             ――十月作――

 

   *

本篇には「邪淫の路(、)」の一行がない。されば、別稿ととるべきであろう。

 なお、筑摩版全集の『草稿詩篇「拾遺詩篇」』には、以下の本篇の草稿「道路」が載る。「したゝす」はママ。

   *

 

  眞實 道路

  道路

 

すはだしでどこへ行くのか

我れのゆくみち

菊をさゝげてあゆむみち

禮拜いつしん供養

にくしんに血をしたゝすの路

肉さかなきやべつのみち

淫亂邪淫の路、

ともがら

みな一列竝行佛身子のみち

齒痛のみち

道路ぴかぴか

電車軌道のみち

いなづまを

犬畜生をして淚を疾患純銀たらしむる

疾患せんちめんたるのみち、

ああ、すつぱだかのわれのみち聖者のみち。

 

   *

後に編者注があり、『本稿の餘白に、次の記載があるが、どの行も抹消されている。』として(「淚」は全抹消に先だって抹消されているので、かく示した)、

   *

  いたい、いたい

みろ、やせぎすの狼だ、

  いたむゆびさきを日輪をさす

  いたい、いたむ

  いたむ

  いたむ、いたむ、

   *

とあるとあり、さらに『本原稿には、末尾に執筆年月日を「一九一四、一〇」と注記したものがある。』とある。]

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