萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 「愛憐詩篇」拾遺 渚
渚
女はかなしくよりそひて
わが手をみつむ
夕浪のひき去りゆく渚に座り
ほの白く光りて殘る渚を指さし
われ等なにごとか語らむと思ふなり
愛なくしてときのすぎゆくわびしさは
この言葉なきかたらひのひまに。
[やぶちゃん注:本篇は筑摩書房版全集では『草稿詩篇「原稿散逸詩篇」』にあるが、小学館版「萩原朔太郞全集」元版の「別册 遺稿上卷」からの転載であり、既に原稿が失われていることが判る。実は、二〇一四年に、どういう経緯で電子化したか思い出せないのだが(恐らくは気儘に全集を開いては、ふと気にいったものをブログでランダムに電子化していたように思う)、既に電子化しているが、「渚」の正字などが、当時の私の「ワード」がユニコード未対応であったためか、「渚」となっていることもあり、再掲しておく。]
« 萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 「愛憐詩篇」拾遺 (無題)(悲しや 侘しや) | トップページ | 萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 「愛憐詩篇」拾遺 (無題)(靑空の下を步み行かばや) »