萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 『蝶を夢む』拾遺 竹
竹
竹は直角
人のくびより根が生え
根がうすくひろがり
ほのかにけむる。
[やぶちゃん注:これは筑摩版全集の「拾遺詩篇」に載り、『詩歌』大正四年二月号に掲載された一篇である。初出を示す。
*
竹
竹は直角、
人のくびより根が生え、
根がうすくひろごり、
ほのかにけぶる。
――大正四年元旦――
*
これは思うに、別稿ともとれなくはないが、小学館の編者による過剰な消毒の結果である可能性も高いように思われる。因みに、この初出当該号には、後の詩集「月に吠える」初版(大正六(一九一七)年二月感情詩社・白日社出版部共刊)の巻頭にある「竹とその哀傷」に載る、知られた二篇の「竹」(私のブログの正規表現版のこれと、これ)の初出形が一緒に掲載されており、私は二〇一三年にブログの『竹 萩原朔太郎 (「月に吠える」の「竹」別ヴァージョン+「竹」二篇初出形)』で「月に吠える」版と異同の詳細を記してあるので、見られたい。]
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