萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 斷片 (無題)(憂愁は影をひきます)
○
憂愁は影をひきます
走れ、走れ
靑い影法師よ、子供よ、小猫よ
走れ、走れ
小さな瀧のながれてゐるところで
幽邃なる谷の底まで
走れ
走れ
ああ神經は自然につかれてくる
つかれてくる、しづかな櫻月夜の圓窓
[やぶちゃん注:本篇は筑摩書房版全集では『草稿詩篇「原稿散逸詩篇」』にあるが、小学館版「萩原朔太郞全集」元版の「別册 遺稿上卷」からの転載であり、既に原稿が失われていることが判る。]
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