萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 遺珠 (「動物園にて」の後に配された「詩篇編註」及び「斷片追註」)
詩篇編註 散文詩と付記したものを除く萩原朔太郞の詩篇は、既刊『月に吠える』『靑猫』『氷島』『遺稿詩集』收錄の分と本卷の分とを合し、ほぼその全部を盡したといふことができる。編集の都合によつて意識的に除外した作品と、またノオト、紙片などに書きつけたまま判讀しがたい作品も若干あるが、それらを一先づ別としていへば、以上の諸篇をもちてその全業績と初期詩篇から晩年に至るまでの途筋も知られる譯である。
斷片追註 本卷一四〇頁に收錄した「穴をもとむ」は、その註に「これは完成してゐたと思はれる」旨をしるしおいたが、その續稿かと思はれるのが、一四一頁上段の「堇きんぽうげ……」の斷片である。しかしこの二篇は全く別個にさぐり出したので、編集者としては、これを一つの作品として結びつけることを遠慮した。そのため近接した頁に二篇を配置し、二篇聯結の手がかりともした。
[やぶちゃん注:底本のこの左ページである。この二つの註は、小学館の編者がいかに誠実であるかを物語るものである。いわば、編集作業に於いて行った仕儀の内で、読者に知らせておきたい作業内容を丁寧に語ったもので、最早、萩原朔太郎の全集の権威となった筑摩版全集などでは、想像も出来ない心の籠った注記であると言える。感動した。
「散文詩と付記したもの」国立国会図書館デジタルコレクションの小学館の同コンパクト版の、
に収録されている。
「既刊『月に吠える』『靑猫』『氷島』『遺稿詩集』收錄の分」それぞれ、国立国会図書館デジタルコレクションの、同じく小学館の同コンパクト版の、
を指す。最後の「遺稿詩集」は既に本ブログ・カテゴリ「萩原朔太郎」で、所持する再版本で全電子化注を終えている。
「穴をもとむ」私の『萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 斷片 穴をもとむ / 筑摩版全集の「穴をもとむ」の完成原稿を誤認した断片(前半)』を指す。
「堇きんぽうげ……」私の『萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 斷片 (無題)(堇、きんぽうげ) / 筑摩版全集の「穴をもとむ」の完成原稿を誤認した断片(後半)』を指す。]
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