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2021/12/29

萩原朔太郞詩集「蝶を夢む」正規表現版 榛名富士

 

   榛 名 富 士

 

その絕頂(いたゞき)を光らしめ

とがれる松を光らしめ

峰に粉雪けぶる日も

松に花鳥をつけしめよ

ふるさとの山遠遠(とほどほ)に

くろずむごとく凍る日に

天景をさへぬきんでて

利根川の上(へ)に光らしめ

祈るがごとく光らしめ。

               ――鄕土風物詩――

 

[やぶちゃん注:初出は大正四(一九一五)年一月号『水甕』。以下に示す。「くろづむ」はママ。

   *

 

   榛名富士

      ――鄕土風物詩――

 

その絕頂(いたゞき)を光らしめ、

とがれる松を光らしめ、

峯に粉雪けぶる日も

松に花鳥をつけしめよ

ふるさとの山、遠遠(とほどほ)に、

くろづむごとく凍る日に、

天景をさへぬきん出て、

利根川の上(へ)に光らしめ、

いのるがごとく光らしめ。

          ――十一月作――

 

   *

本篇には草稿がある。以下に示す。行頭の数字は朔太郎自身が打ったもの。誤字はママ。

   *

 

  榛名富士

   (上野三岳ノ一、形樣富士山ニ似タルヲ

    以テコノ名アリ、)

 

1その絕頂を光らしめ

2とがれる松を光らしめ

3おも峯に粉ゆきふるときも→けぶる日も→ふれる日もけぶる日も

4松に花鳥をつけしめよ

利根 さ靑に利根をはしらせて

けぶるがごとく凍る日に

遠山脈の 消ゆる日に 凍る日に

5ふるさとかみつけの山遠々に

6くろづむごとく凍る日に

7天景をさへぬきんでゝ

8利根川のへに光らしめ

9いのるが如く光らしめ、

     ――滯鄕 詩扁 哀語――
     ――鄕土詩扁――
     ――鄕土景物詩――
     ――一九一四、一一、一五――

 

   *]

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