萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 斷片 (無題)(ぬすびとといへども)
○
ぬすびとといへども
ともだちにはあたへてぱんをたべ
ぬすびとといへども
ともだちとは仲よくしてくらしてゐるものを
われらはなみだの價をしらず
ちゝはゝのおんあいにうらぎりして
ともだちの手に蛇をあたへたる大惡人
[やぶちゃん注:筑摩版全集の「未發表詩篇」に無題詩で以下がある。
*
○
ぬすびとといへども
ともだちには味のよいぱん肉をあたへたてぱんをたべた
ぬすびとといへども
捕吏ともだちとは仲よくしてくらして居るものを
われらはなみだの價をしらず
ともだちちちゝはゝの恩おんあいにうらぎりして
ともだちの手に蛇をあたへたる大惡人
*
とあり、異同があるが、本篇はこれと同一原稿であると推定する。なお、最後に示した詩篇には全集の編者注があり、『本稿は未發表詩篇「詩的散文」の「女に」と同一用紙の右半分に書かれている』とあるが、いくら探しても、同全集には「女に」という詩的散文なんぞは、ないだがね?]
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