萩原朔太郞詩集「蝶を夢む」正規表現版 Omega の瞳
萩原朔太郞詩集「蝶を夢む」正規表現版 Omega の瞳
Omega の瞳
死んでみたまへ、屍蠟の光る指先から、お前の靈がよろよろとして昇發する。その時お前は、ほんたうにおめがの靑白い瞳(め)を見ることができる。それがお前の、ほんたうの人格であつた。
ひとが猫のやうに見える。
[やぶちゃん注:太字は底本では傍点「ヽ」。初出は大正四(一九一五)年四月発行の『卓上噴水』であるが、無題で、第二連は存在しない。以下に示す。誤字や歴史的仮名遣の誤りは総てママ。
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○
幼兒は眞實であり神は純一至高の感傷である。
死んでみたまへ、屍臘の光る指先からお前の至純な靈が發散する、其時お前にほんとうに OMEGA. の瞳の靑白い感傷のひとみを見ることができる其れは汝の人格であつた。
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