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2021/12/27

萩原朔太郞詩集「蝶を夢む」正規表現版 かなしい薄暮

 

   かなしい薄暮

 

かなしい薄暮になれば

勞働者にて東京市中が滿員なり

それらの憔悴した帽子のかげが

市街(まち)中いちめんにひろがり

あつちの市區でもこつちの市區でも

堅い地面を掘つくりかへす

掘り出して見るならば

煤ぐろい嗅煙草の銀紙だ

重さ五匁ほどもある

にほひ堇のひからびきつた根つ株だ

それも本所深川あたりの遠方からはじめ

おひおひ市中いつたいにおよぼしてくる。

なやましい薄暮のかげで

しなびきつた心臟がしやべるを光らす。

 

[やぶちゃん注:「月に吠える」の「かなしい遠景」の改題再録。『萩原朔太郎詩集「月に吠える」正規表現版 かなしい遠景』と比較対象されたい。標題変更以外には、最終行が「しなびきつた心臟がしやべるを光らしてゐる。」とある以外は有意な表現変更はない。はそちらで詳細語注もしてある。但し、「嗅煙草」(かぎたばこ)であるが、私自身、使用したことはないが、所謂、口腔内に固形煙草片を入れてニコチンを体内に吸収するもので、「噛み煙草」と同じく、燃やしたり、煙が出るタイプではない。本邦でも(見たことはないが)売っている。なお、詩集原本の当該部を見られたいが、上記の通り、十行目のスミレは「菫」ではなく、異体字の「堇」である。

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