萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 散文詩 危險なる新光線
危險なる新光線
疾患せる植物及び動物の脊髓より發光するところの螢光又はラジウム性放射線が、如何に我々の健康に有害なるかを想へ、斯くの如き光線は人身をして糜爛せしめ、侵蝕せしめずんば止まず。新らしき人類をして悲慘なる破滅より救助せしめんがため、科學者は新らたに發見を要す。
[やぶちゃん注:初出は底本の「詩作品發表年譜」及び筑摩版全集の「拾遺詩篇」にある通り、大正四(一九一五)年二月号『詩歌』である。初出は奇体な表記(誤字と言うよりも萩原朔太郎の思い込みの誤用である可能性が高いように思われる)が異様に多いが、一応、示しておく。
*
危嶮なる新光線
疾惡せる植物及び動物の背髓より發光するところの螢光又はラジウム性放射線が、如何に我々の健康に有害なるかを想へ、斯くの如き光線は人身をして靡爛せしめ、浸蝕せしめずんば止まず。新らしき人類をして悲慘なる破滅より救助せしめんがため、科學者は新らたに發見を要す。
*]
« 萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 散文詩 手の幻影 | トップページ | 曲亭馬琴「兎園小説別集」上巻 西羗北狄牧菜穀考(その3) »