萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 斷片 (無題)(堇、きんぽうげ) / 筑摩版全集の「穴をもとむ」の完成原稿を誤認した断片(後半)
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堇、きんぽうげ
うどんげの芽ばへのたぐひ
いつせいにほなみをそろへてしんしんたりしが
このときくらき屋内には罪びと住みて
あつき壁のかたへに座しつつ
きはめてかすかなる『良心』の穴をもとめんとして焦心せり。
[やぶちゃん注:先行する「穴をもとむ」を参照。読点以外に「いつせい」が筑摩版全集の「未發表詩篇」では「いつさいに」となっているが、これは両編集者の孰れかの誤判読に過ぎない。「さ」と「そ」は、「左」と「楚」及び「散」と「所」の崩し字が、非常によく似ており、誤読しやすい。個人的には本「いつせいに」の方がいいが、「いつさい」は萩原朔太郎が断定強調で好んだ表現でもある。]
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