萩原朔太郞詩集「蝶を夢む」正規表現版 陸橋
陸 橋
陸橋を渡つて行かう
黑くうづまく下水のやうに
もつれる軌道の高架をふんで
はるかな落日の部落へ出やう。
かしこを高く
天路を翔けさる鳥のやうに
ひとつの架橋を越えて跳躍しやう。
[やぶちゃん注:「出やう」「しやう」はママ。初出は大正一〇(一二二一)年十二月号『表現』。標題は「陸橋を渡つて」。以下に示す。
*
陸橋を渡つて
陸橋を渡つて行かう
黑くうづまく下水のやうに
もつれる軌道の高架を踏んで
はるかな落日の部落へ出よう。
かしこに高く
天路を翔(か)けさる鳥のやうに
一つの架橋を越えて跳躍しよう。
*]
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