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2021/12/27

萩原朔太郞詩集「蝶を夢む」正規表現版 白夜

 

   白 夜

 

夜霜まぢかくしのびきて

跫音(あのと)をぬすむ寒空(さむぞら)に

微光のうすものすぎさる感じ

ひそめるものら

遠見の柳をめぐり出でしが

ひたひたと出でしが

見よ 手に銀の兇器は冴え

闇に冴え

あきらかにしもかざされぬ

そのものの額(ひたひ)の上にかざされぬ。

 

[やぶちゃん注:初出は大正四(一九一五)年一月号『地上巡禮』。以下に初出形を示す。

   *

 

 白夜

 

夜霜まぢかくしのびきて、

跫音(あのと)を盜む寒ぞらに、

微光のうすものすぎ去る感じ、

ひそめるものら、

遠見(とほみ)の柳をめぐり出でしが、

ひたひたと出でしが、

みよ手に銀の兇器は冴え、

闇に冴え、

あきらかにしもかざされぬ、

そのものゝ額の上にかざされぬ。

          ――十一月作――

 

   *

なお、本篇には、筑摩版全集の「草稿詩篇 蝶を夢む」に草稿が一篇(無題)載る(草稿は三種とする内の一篇のみ)。以下に示す。□は底本編者の判読不能字。

   *

 

  

 

白金微光のよるきたり

夜天の□羅よるしだいにふけ

裸服の→おみなごの 靑ざめし裸體をすかす

光る→靑夜光のうすもの衣裝のすぎ行くところ

靑ざめし裸形 靈をすかす空氣のそこに

光のうすものすぎ去る ところ 感じゆくけはひし

ひたひたとよる女の女子のあゆみ いのりを感じちからを感じて

ひそめるものら

遠見の柳をめぐりいでしが、

みよ、そがかれの兇器は、あきらかに光り額にふりかざさる、

 

   *

最後に編者注があり、採用しなかった『他の草稿では』「白夜兇行」及び「柳」『と題する』とある。]

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