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2021/12/22

萩原朔太郞詩集「蝶を夢む」正規表現版 眺望

 

   眺 望

 

              旅の記念として、室生犀星に

 

さうさうたる高原である

友よ この高きに立つて眺望しやう。

僕らの人生について思惟することは

ひさしく既に轉變の憂苦をまなんだ

ここには爽快な自然があり

風は全景にながれてゐる。

瞳(め)をひらけば

瞳は追憶の情侈になづんで濡れるやうだ。

友よここに來れ

ここには高原の植物が生育し

日向に快適の思想はあたたまる。

ああ君よ

かうした情歡もひさしぶりだ。

 

[やぶちゃん注:二行目「しやう」はママ。「情侈」は「じやうし」と読むのだろうが、熟語としては「情歡」以上に見慣れない。「己の回顧感情の恣(ほしいまま)にすること」という謂いではあろう。なお、添え辞は、以下の初出から見て、前年大正一〇(一九二一)年夏七月下旬に、室生犀星に室生が避暑に馴染んでいた軽井沢から電報を寄せ、軽井沢に招かれ、ともに妙高山麓の赤倉温泉に遊んでおり、この時の遊興を指していると考えてよい。

 初出は大正十一年二月号『日本詩人』。以下に示す。

   *

 

 眺望

 

     旅の記念として、室生犀星に

 

さうさうたる高原である

友よ、この高きに立つて眺望しよう。

僕らの人生について思惟することは

ひさしく既に轉變の憂苦をまなんだ。

ここには爽快な自然があり

風は全景にこがれてゐる。

瞳(め)をひらけば

瞳(め)は追憶の情侈になづんで濡れるやうだ。

友よここに來れ

ここには高原の植物が生育し

日向な快適の思想はあたたまる。

ああ 君よ

かうした情歡もひさしぶりだ。

 

   *]

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