萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 斷片 (無題)(この景色のよい海岸の別莊はだれの家か)
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この景色のよい海岸の別莊はだれの家か
浪の音さやかに垣根をこえ
まがりくねつた松の木の幹はなにの夢を夢みるか
ほのかにひびく琴の音はいかに美しき調べぞ
ああ 明日の空に澄みて 澄みわたりて
靑き木々の葉も砂山の上にしつとりと眠
[やぶちゃん注:立ち切れたように終わっているのはママ。筑摩版全集では、「未發表詩篇」に以下のように載る。「桓根」「澄りわたりて」はママ。後の「*」以下は編者注。
*
○
この景色のよい海岸の別莊はだれの家か、
浪の音さやかに桓根をこえ、
まがりくねつた松の木の幹はなにの夢を夢みるか、
ほのかにひびく琴の音はいかに美しき調べぞ、
ああ 明月の空に澄みて澄りわたりて、
靑き木々の葉も砂山の上にしつとりと眠
* 本稿には以下がない。
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異同があるが、まず、同一原稿であろう。]
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