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2022/01/28

毛利梅園「梅園介譜」 水蟲類 虎蟳(ワタリガニ・テナガ・シマガニ) / タカアシガニ

 

[やぶちゃん注:底本のここからトリミングした。この丁の図は、皆、小さい。]

 

Kojin

 

「福州府志」、

虎蟳(コジン)【「わたりがに」。「てなが」と云ふ。「しまがに」。】

 

此者、「わたりがに」の苗(なへ/こ)の者。其の大なるもの、殻、三尺に至る。其の手螯(てばさみ)、四、五尺に至る。

 

甲午(きのうえむま)十月一日、眞寫す。

 

[やぶちゃん注:フライングの『毛利梅園「梅園介譜」 蝤蛑(ガザミ)』で、私はこの「虎蟳」「わたりがに」について、『中文サイトのこちらの「蟳虎魚贊」という絵を見ると、ガザミ属 Portunus らしい個体が描かれてあり、中文サイトを見ると同属の複数種にこの漢字を当てているから、ワタリガニ・ガザミ類を指す語である。』と注したのであるが、これは、図と解説を読む限り、ワタリガニ・ガザミ類ではあり得ない。絵は小さく「苗の者」の言っておいて、以下に異様に巨大なサイズを記しているから、これは、

抱卵亜目短尾下目クモガニ科タカアシガニ属タカアシガニ Macrocheira kaempferi のごく幼体

と比定同定する。当該ウィキによれば、『現生の節足動物では世界最大』種で、『カニ類の中では系統的に古い種で』「生きた化石」とも呼ばれる。『現生のタカアシガニ属(Macrocheira属)は』一属一種だけ『だが、他に化石種が』四『種類(日本国内に』二『種、アメリカ合衆国ワシントン州に』二『種)報告されている』。『脚には白色のまだら模様が入る。脚は非常に細長いが、さらに成体の』♂では鉗脚が他の『脚よりも長くなり、大きな』♂が鉗脚を『広げると』三・八『メートルに達する。甲羅は最大で甲幅』四十『センチメートルになり、甲長の方が長く楕円形で、盛りあがっていて丸っこい。体重は最大で』十九『キログラムに達する。複眼は甲羅の前方に並び、複眼の間には』、『斜めの棘が左右に突き出す。若い個体は甲羅に毛や棘があり、複眼の間の棘も長いが、成熟すると毛は短くなり、棘も目立たなくなる』。『生息域は岩手県沖から九州までの太平洋岸で、東シナ海、駿河湾、土佐湾である。まれに三河湾や伊勢湾で漁獲されたこともある。日本近海の固有種と言われていたが』、一九八九『年に台湾の東方沖で見つかっている。水深』百五十~八百『メートルほどの深海砂泥底に生息し(特に水深』二百~三百『メートルに多い)、春の産卵期には、水深』五十『メートル程度の浅いところまで移動して産卵する。学名は』、出島の三学者の一人で、ドイツ北部レムゴー出身の医師にして博物学者であったエンゲルベルト・ケンペル(Engelbert Kaempfer 一六五一年~一七一六年:元禄三(一六九〇)年にオランダ商館付の医師として、約二年間、出島に滞在し、オランダ語通訳今村源右衛門の協力を得て、精力的に資料を収集した。ヨーロッパにおいて、日本を初めて体系的に記述した「日本誌」(Geschichte und Beschreibung von Japan )の原著者として知られる。同書の出版は複雑なので、彼のウィキ、及び、ウィキの「日本誌」を読まれたい)に『ちなんで名づけられたもので、彼の生誕』三百五十『年の折』(二〇〇一年)『には剥製がドイツに送られた』。『食性は動物食の強い雑食性で、貝などを鋏で潰し割って食べることが多い。(鋏の内側に球状の突起が多数並んでおり、くるみ割り器のように、固い物を潰して割る構造になっている。)』。『産地以外では食材としての評価は低い。水揚げして放置すると身が溶けて液体化してしまうため、扱いが難しいといったことが挙げられる』。『味は水っぽく大味で』、そのため、『大正初期の頃から底引き網漁でタカアシガニが水揚げされるも』、『見向きもされていなかった。しかし今日では』、『漁獲される地元の名物料理の一つになっている。巷説では』、昭和三五(一九六〇)年に、『戸田村(現在の沼津市戸田地区)の地元旅館主人が「タカアシガニ料理」を始めたとされている』。『小型底引き網(トロール網)などで漁獲され、塩茹でや蒸しガニなどにして食用にされる。メスの方が美味しいという話もあるが、巨体の割にはあまり肉が多くない。漁場は相模灘、伊豆七島周辺、駿河湾、熊野灘、土佐湾などだが、産卵期の春は禁漁となっている。特に漁が盛んな駿河湾ではタカアシガニを観光の名物にしているが、近年は漁獲が減少しているため、種苗放流など資源保護の動きもある』。『和歌山県では産卵期の春に浅瀬に移動するものを漁獲している』とある。

「福州府志」明の作者不詳の福建省の地誌。「福州府志萬歷本」と呼ばれる。「中國哲學書電子化計劃」のこちらで以下のように確認出来た(手を加えた)。

   *

虎獅、形似虎頭、又名揭哺子、有紅赤斑點、螯扁、與爪皆有毛。

   *

「三尺」九十・九センチメートル。

「四、五尺」一メートル二十二センチから一メートル五十一・五センチメートル。

「甲午十月一日」天保五年十月一日。グレゴリオ暦一八三四年十一月一日。]

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