萩原朔太郎詩集「宿命」「散文詩」パート(「自註」附) 正規表現版 恐怖への豫感
恐怖への豫感
曠野に彷徨する狼のやうに、一つの鋭どい瞳孔と、一つの飢ゑた心臟とで、地上のあらゆる幻影に嚙みつかうとする、あるひとの怒りに燃えついた情慾。牙をむき出した感情にまで注意せよ。自然の慘憺たる空の下では。
[やぶちゃん注:太字は底本では傍点「◎」。
初出は「新しき欲情」の「第三放射線」パートの「作品番號」「101」。以下に示す。太字下線は底本では傍点「●」。
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101
恐怖への豫感 曠野に彷徨する狼のやうに、一つの鋭どい瞳孔と、一つの飢ゑた心臟とで、地上のあらゆる幻影に嚙みつかうとする、あるひとの怒りに燃えついた情慾。牙をむき出した感情にまで注意せよ。自然の慘憺たる空の下では。
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