毛利梅園「梅園介譜」 水蟲類 團扇蟹(ウチハガニ) / タマオウギガニか?
[やぶちゃん注:底本のここからトリミングした。キャプションは位置を変更した。このクレジットの「两品」は恐らく上記全図の左手にある「ケンガニ」との二種を指すものと思われる。]
團扇蟹(うちはがに)
甲表
腹裏
两品天保七丙申(かのえさる)年五月十五日、指谷先生、之れを送らるを、圖す。
[やぶちゃん注:【2022年1月27日改稿】当初、本種は種として全く分からなかったが、どうも気になってはいた。たまたま、別な必要から、平成七(一九九五)年保育社刊「原色検索日本海岸動物図鑑[Ⅱ]」(西村三郎編著)をつまびらいていたところ、画像が本種を髣髴させるものとして、ふと、手が止まった。
抱卵(エビ)亜目短尾(カニ)下目オウギガ二科カノコオウギガニ属カノコオウギガニ Daira perlata
であった。解説に(ピリオド・コンマを句読点に代えた)、『甲長22㎜まで。脚を縮めた姿は球状に近い。全身短毛で覆われる。甲面は多数の溝によって細かく分画される。前側縁には3個の切れ込みがある。鉗脚・歩脚の内面は平滑で白い。浅海岩礁のウミトサカ類』『群体の柄部に穴をあけて生息する。相模湾から九州まで分布する。』とあった。梅園の図は小さくて、細部の検証は出来ないものの、この記載は概ね齟齬しないし、何より、和名の「扇」は「団扇」に親和性がある。これを有力候補としたい。
「天保七丙申年年五月十五日」一八三六年六月二十八日。
「指谷先生」不詳。]
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