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2022/01/04

萩原朔太郎詩集「純情小曲集」正規表現版 洋銀の皿

 

   洋 銀 の 皿

 

しげる草むらをたづねつつ

なにをほしさに呼ばへるわれぞ

ゆくゆく葉うらにささくれて

指も眞紅にぬれぬれぬ。

なほもひねもすはしりゆく

草むらふかく忘れつる

洋銀の皿をたづね行く。

わが哀しみにくるめける

ももいろうすき日のしたに

白く光りて淚ぐむ

洋銀の皿をたづねゆく

草むら深く忘れつる

洋銀の皿はいづこにありや。

 

[やぶちゃん注:初出は大正三(一九一四)年五月号『創作』。標題は「春日」。以下に示す。「さされて」はママ。

   *

 

 春日

 

しげる草むらをたづねつゝ、

なにを欲しさに呼ばへるわれぞ、

ゆくゆく葉うらにさされて

指も眞紅にぬれぬれぬ、

なほもひねもすはしりゆく、

草むらふかく忘れつる、

洋銀の皿をたづね行く、

わが哀しみにくるめける、

ももいろうすき日のしたに、

白く光りて淚ぐむ、

洋銀の皿をたづね行く、

草むら深く忘れつる、

洋銀の皿はいづこにありや。

 

   *

 筑摩版全集の草稿ノート「習作集第九卷(愛憐詩篇ノート)」に草稿がある。標題は「春日」。以下に示す。「葉らら」「くらむら」はママ。

   *

 

 春日

 

しげれる草むらをたづねつゝ

なにをほしさに泣くわれぞ

ゆくゆく笹の葉ららにさゝくれて

も眞紅にぬれぬれぬ

なほもひねもすはしりゆく

くらむら深く忘れつる

洋銀の皿をたづねゆく

わが哀しみにくるめける

ももいろうすき日の下に

あかすひねもす唄ひつゝ

白く光りて淚ぐむ

洋銀の皿はいづこにありやをたづねゆく

草むら深く忘れつる

洋銀の皿が唄ふなり→たづねゆくはいづこにありや、

 

   *]

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