萩原朔太郎詩集「純情小曲集」正規表現版 金魚
金 魚
金魚のうろこは赤けれども
その目のいろのさびしさ。
さくらの花はさきてほころべども
かくばかり
なげきの淵(ふち)に身をなげすてたる我の悲しさ。
[やぶちゃん注:初出は大正二(一九一三)年五月号『朱欒』。但し、無題である。以下に示す。
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○
金魚のうろこは赤けれども
その目のいろのさびしさ
さくらの花はさきてほころべども
かくばかり
嘆きの淵に身を投げ捨てたる我の哀しさ。
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筑摩版全集の草稿ノート「習作集第八卷(愛憐詩篇ノート)」に載る無題(『△』は無題表記)の草稿を以下に示す。
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△
金魚のうろこは赤けれども
その目のいろのさびしさ
さくらの花はさきてほころべども
かくばかり嘆きの淵に身を投げすてたる我の哀しさ
*]
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