萩原朔太郎詩集「宿命」「散文詩」パート(「自註」附) 正規表現版 地球を跳躍して
地球を跳躍して
たしかに私は、ある一つの特異な才能を持つてゐる。けれどもそれが丁度あてはまるやうな、どんな特別な「仕事」も今日の地球の上に有りはしない。むしろ私をして、地球を遠く圈外に跳躍せしめよ。
地球を跳躍して 詩人は常に無能者ではない。だが彼等の悲しみは、現實世界の俗務の中に、興味の對象を見出すことが出來ないのである。それ故に主觀者としての彼等は、常に心ひそかに思ひ驕り、自己の大いに爲すある有能を信じてゐる。だが彼等は、何時(いつ)、何所(どこ)で、果して何事をするのだらう。地球を越えて、惑星の世界にでも行かなかつたら![やぶちゃん注:巻末の「散文詩自註」のそれをここに配した。]
[やぶちゃん注:太字は底本では傍点「◎」。「散文詩自註」は本篇内の詩篇順列と一致しておらず、五番目に配されてある。
初出は「新しき欲情」の「第四放射線」パートの「作品番號」「153」。以下に示す。太字下線は底本では傍点「●」。
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153
地球を跳躍して たしかに私は、ある一つの特異な才能を持つてゐる。けれどもそれが丁度あてはまるやうな、どんな特別な「仕事」も、今日の地球の上に有りはしない。むしろ私をして、地球を遠く圈外に跳躍せしめよ。
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