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2022/01/21

萩原朔太郎詩集「宿命」「散文詩」パート(「自註」附) 初夏の歌

 

   初 夏 の 歌

 

 今は初夏! 人の認識の目を新しくせよ。我々もまた自然と共に靑々しくならうとしてゐる。古きくすぼつた家を捨てて、渡り鳥の如く自由になれよ。我々の過去の因襲から、いはれなき人倫から、既に廢つてしまつた眞理から、社會の愚かな習俗から、すべての朽ちはてた執着の繩を切らうぢやないか。

 靑春よ! 我々もまた鳥のやうに飛ばうと思ふ。けれども聽け! だれがそこに隱れてゐるのか? 戶の影に居て、啄木鳥(きつつき)のやうに叩くものはたれ? ああ君は「反響(こだま)」か。老いたる幽靈よ! 認識の向ふに去れ!

 

[やぶちゃん注:太字は底本では傍点「◎」。「向ふ」はママ。初出は大正一五(一九二六)年六月号『日本詩人』。二段落目に幾つかの単なる誤字・誤植とも思われない、やや不審な異同があるので、以下に示す。こちらの太字は傍点「●」。

   *

 

 初夏の歌

 

 今は初夏! 人の認識の目を新しくせよ。我々もまた自然と共に靑々しくならうとしてゐる。古きくすぼつた家を捨てて、渡り鳥の如く自由になれよ。我々の過去の因襲から、いはれなき人倫から、既に廢つてしまつた眞理から、社會の愚かな習俗から、すべての朽ちはてた執着の繩を切らうぢやないか。

 靑春よ! 我々もまた鳥のやうに飛ばうと思ふ。けれども聽け! だれがそこに隱れてゐるのか? 戶の影に居て、喙木鳥(きつつき)のやうに叩くものはたれ? ああ君は「反響(すだま)」か。老ひたる幽虛よ! 認識の向ふに去れ!

 

   *

知らない方のためにに言っておくと、「反響」のルビ「すだま」は誤字・誤植ではない。「魑魅」「霊」などの漢字を当てて、古くから「山林・木石の精気から生じるとされた精霊。人面鬼身にして、よく人を迷わすという。ちみ(魑魅)」を指す。本邦のアニマチズム・アニミズムの零落したもので、しばしば同じ精霊の「木霊(こだま)」と同一視もされた(同時に「人の霊魂・たましい」の意にも用いた)。「虛妄の正義」版は太字は傍点「●」であること以外は、本詩集版と相同である。]

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