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2022/02/22

萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版 小曲集(前回のものとは別)

 

 小曲集

               夢みるひと

 

   ×

 

千鳥(ちどり)あし

やつこらさと來(き)て見(み)れば

にくい伯母御(おばご)にしめ出され

泣(な)くに泣(な)かれずちんちろり

柳(やなぎ)の下(した)でひとくさり

 

   ×

 

隣(となり)きんじよのお根(こ)ん性(ぜう)に

打(う)たれ抓(つ)められくすぐられ

ぢつと淚をかみしめる

靑(あを)い毛絲(けいと)の指(ゆび)ざはり

 

[やぶちゃん注:大正二(一九一三)年十月二日附『上毛新聞』に発表された。太字は底本では傍点「ヽ」。

・「伯母御(おばご)」のルビの「お」はママ。

・「性(ぜう)」のルビはママ。

・「ぢつと」はママ。

編者注があり、掲載紙では、『この後に短歌「あひゞき」五首を掲載。』とある。当該短歌を同底本の短歌パートから以下に掲げておく。太字は同前。

   *

 

   あひゞき

               夢みるひと

 

あいりすのにほひぶくろの身(み)にしみて忘(わす)れかねたる夜(よる)のあひゞき

 

しなだれてはにかみぐさも物(もの)は言(い)へこのもかのものあひゞきのそら

 

夏(なつ)くれば君(きみ)が矢車(やぐるま)みづいろの浴衣(ゆかた)の肩(かた)ににほふ新月(にひづき)

 

なにを蒔(ま)く姫(ひめ)ひぐるまの種(たね)を蒔(ま)く君(きみ)を思(おも)へと淚(なみだ)してまく

 

いかばかり芥子(けし)の花(はな)びら指(ゆび)さきに泌(し)みて光(ひか)るがさびしかるらむ

             (一九一三、四)

 

   *

この内、四首目は大正二(一九一三)年四月発行の『朱欒』(「ザンボア」と読む。北原白秋の編集になる文芸雑誌。明治四四(一九一一)年十一月からこの翌月大正二(一九一三)年五月までで全一九冊を刊行した)に萩原咲二名義で載せた三首の内の一首、

 

なにを蒔くひめぐるまの種を蒔く君を思へと淚してまく

 

(「ひめぐるま」は「ひめひぐるま」の脱字であろう)の再掲である。因みに、この大正二(一九一三)年四月というのは萩原朔太郎の詩人人生の一つの大きな特異点である。それは、かの「エレナ」への絶唱、生涯唯一と思われる自筆歌集(散文附き)「ソライロノハナ」を制作した月だからである(リンク先は私の注附きPDF縦書一括版)。なお、私は「やぶちゃん版萩原朔太郎全歌集 附やぶちゃん注 PDF縦書版」も公開している。

   *

 なお、「習作集第八巻(愛憐詩篇ノート)」に「いろはがるた」という草稿があり、その中に、

   *

     ×

千鳥あし

やつこらさと來てみれば

にくい伯母御にしめ出され

泣くになかれずちんちろり

柳の下でひとくさり、

     ×

となりきんじよのおこんぢよに

うたれつめられくすぐられ

ぢつと淚をかみしめる

靑い毛絲の指ざはり

     ×

 

   *

というパートが続いて出る。草稿「いろはがるた」(標題には頭に「△」が打たれ、決定標題ではない)の全篇は「いろはがるた 萩原朔太郎」で既に電子化注してあるので参照されたい。]

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