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2022/02/21

萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版 小曲集

 

 小曲集

               夢みるひと

 

   ×

 

ほゝづきよ

ひとつ思(おも)ひに泣(な)けよかし

女(をんな)のくちにふくまれて

男(をとこ)ごゝろのさびしさを

さも忍び音に泣けよかし

 

   ×

 

ほんのふとした一言(ひとこと)から

人(ひと)が憎(にく)うてならぬぞへ

ほんのその日(ひ)の出來(でき)ごゝろ

つい張(は)りつめた男氣(をとこき)が

しんぞ可愛(かは)ゆてならぬぞへ

 

[やぶちゃん注:大正二(一九一三)年十月一日附『上毛新聞』に発表された。

・二箇所の「ならぬぞへ」はママ

・「男氣(をとこき)」のルビの「き」はママ。無論「をとこぎ」が正しい。但し、新聞なので、ルビは勝手に新聞社が附したものと考えた方が無難。

 読みが五月蠅いので、除去版を以下に示す。

   *

 

 小曲集

               夢みるひと

 

   ×

 

ほゝづきよ

ひとつ思ひに泣けよかし

女のくちにふくまれて

男ごゝろのさびしさを

さも忍び音に泣けよかし

 

   ×

 

ほんのふとした一言から

人が憎うてならぬぞへ

ほんのその日の出來ごゝろ

つい張りつめた男氣が

しんぞ可愛ゆてならぬぞへ

 

   *

 なお、底本全集第二巻の「習作集第八卷(愛憐詩篇ノート)」の中に本篇の草稿が別々にある。以下に示す。後者は無題だが、ノート『卷末の目次では「えちうど」との題を附している』と編者注がある。

   *

 

 ほゝづき

 

ほゝづきよ

ひとつ思ひに泣けよかし

女のくちにふくまれて

男ごゝろのかなしさを

さも忍び音に泣けよかし

 

   *

 

 △

 

ほんのふとした一言(ひとこと)から

ひとが憎うてならぬぞへ

ほんのその日の出來ごゝろ

つい張りつめた男氣が

しんぞ可愛ゆてならぬぞへ

 

   *]

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