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2022/02/25

萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版 岩魚

 

 岩魚

    ――哀しきわがエレナにさゝぐ――

 

瀨川ながれを早み、

しんしんと魚らくだる、

あゝ岩魚(いはな)ぞはしる、

谷あひふかに、秋の風光り、

紫苑はなしぼみ、

木末(こずゑ)にうれひをかく、

えれなよ、

信仰は空に影さす、

かならずみよ、おんみが靜けき額にあり、

よしやここは運くとも、

わが巡禮は鈴ならしつつ君にいたらむ、

いまうれひは瀧をとどめず、

かなしみ山路をくだり、

せちにせちにおんみをしたひ、

ひさしく手を岩魚(いはな)のうへにおく。

       ――一九一五、八、八――

 

[やぶちゃん注:大正三(一九一四)年九月号『異端』に発表された。なお、前の「若き尼たちの步む路」の私の注を参照のこと。「一九一五」はママ。無論、「一九一四」が正しい。

「紫苑」双子葉植物綱キク目キク科キク亜科シオン連シオン属シオン Aster tataricus

 なお、底本全集の『草稿詩篇「補遺」』に「全文抹消草稿」というパートがあり(まず、普通の読者はなかなか目を止めないパートだろう。何故なら、大方、「見よ注」さえも附されていないからである)、そこに無題で二篇、本「岩魚」の全文が最後には抹消された草稿が載る。以下に示す。『(本篇原稿二種一枚)』とするものである。脱字と思しい箇所は総てママ。「湯泉」はママ。第二草稿のアラビア数字は朔太郎が附したもの。

   *

 

  ○

ああはや秋とな→はみづがねとなり、わが四肢は靑らみ

ああ靈智をもて魚を泳がせ現す

ああ夕べとなれば はや すでにあしたとなれば ああ草の花 七草をつみてかへるの路

ああ樹木をけむり

あかるく 湯泉に 吾妻の山はみづがね

おんみに 河鹿瀨川にけぶり はや□□□くれ

ああしんしんとしてかへる山路

なんぢのため

河鹿月にけぶりわが靈は新らしき瀧をいたくぬれしが

わが靈は峯をすべりつゝ

ぬれぬれて

みよ峯に新らしき瀧は光れり

 

 

   ○

はや秋となり

1おんみよ

すで岩魚を かくも→靈智は 追つて

2われは谷間ふかにくなればはしり

わが手をも はやきみが瀧をきく□□

3靈智もて瀧をきづきた

わが四肢肉はみどりをふく

すでに われの靈智 をもて魚を泳がすのゆうべ をするどくして魚を釣り

ゆうべ 秋草をつみてかへるの山路 谷間をくだりゆきし

すでにすでに岩魚を泳がしむ

ああおんみのため

わが肌はいたみいたくぬれてきづつしが

みよ峯にみよさらに新らしき瀧はかゝれり

 

   *]

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