萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版 竹
竹
竹は直角、
人のくびより根が生え、
根がうすくひろごり、
ほのかにけぶる。
――大正四年元旦――
[やぶちゃん注:大正四年二月号『詩歌』に発表された。謂わば、萩原朔太郎の最も有名な病的な「竹」詩群の皮切りであり、既に私は、
また、
竹 萩原朔太郎 (「月に吠える」の「竹」別ヴァージョン+「竹」二篇初出形)
などを電子化しており、本篇も、複数回、電子化しているのであるが、この本篇自体の一つの草稿を電子化していなかった。それを以下に示す。筑摩版全集の『草稿詩篇「拾遺詩篇」』に載る以下の無題のものである(もう一種存在するらしいが、活字化されていない)。
*
○
竹はりうりう
くびより
竹はするする→直→り ゆ りうりうすつつきり
ひとのくびより根が生え
┃┏その根はけぶる
┃┗うすくけぶ
┃┏根がうすくなりらみ
┃┗ほのかにけぶる
*
最後の罫線記号「┃」「┏」「┗」は私が附した。前の二行と後ろの二行が併置残存していることを示してある。]
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