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2022/02/05

萩原朔太郎詩集「定本 靑猫」正規表現版 寄生蟹のうた

 

   寄生蟹のうた

 

潮みづのつめたくながれて

貝の齒はいたみに齲ばみ 酢のやうに溶けてしまつた

ああ ここにはもはや友だちもない 戀もない。

渚にぬれて亡靈のやうな草を見てゐる

その草の根はけむりのなかに白くかすんで

春夜のなまぬるい戀びとの吐息のやうです。

おぼろにみえる沖の方から

船人はふしぎな航海の歌をうたつて 拍子も高く楫の音がきこえてくる。

あやしくもここの磯邊にむらがつて

むらむらとうづ高くもりあがり また影のやうに這ひまわる

それは雲のやうなひとつの心像 さびしい寄生蟹(やどかり)の幽靈ですよ。

 

[やぶちゃん注:「這ひまわる」はママ。なお、「寄生蟹(やどかり)」のルビは「寄生」の「やど」が一字ずつで、「蟹」に「かり」の二字が割り当ててある(他では、総て均等割付である)。海産無脊椎動物フリークの私の偏愛する一篇で、

寄生蟹の歌 萩原朔太郎 (「寄生蟹のうた」初出形) 附 全再録形

萩原朔太郞 靑猫(初版・正規表現版) 寄生蟹のうた

萩原朔太郞詩集「蝶を夢む」正規表現版 寄生蟹のうた

があるので、見られたい。]

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