萩原朔太郎 未発表詩篇 無題(さてなやましさと寂しさが彼を狂氣せしめた、……)
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石桓の下にはぺんぺんぐさがもえて居る、
そこは日だまり
さて子供らは
物狂ほしい
さてなやましさと寂しさが彼を狂氣せしめた、
日は日ねもす丘浪の上に物悲しく光つて居た、
その邊の砂は生ぬるくやけて居た、
彼 男は帽子を土べたにたゝきつけた
松林には 風 そうそうと風が 吹 なつて居た、
うす暗く
[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。編者注があり、『本稿には以下がない』とある。]
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