萩原朔太郎 未発表詩篇 毛の哀傷
哀傷 光る 毛の哀傷
すべてのものは毛の如ごとし
悲しみふかく うま なりゆく き けば
うどんげの花の毛のごとし
かびの さびしき ましろき毛の如し
かびのましろき毛の如し
悲しみふかくなりゆけぱ
爪をとがはやしみじみと
わがみはひかる毛のごとし。
[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。編者は七行目「爪をとがはやしみじみと」は「爪をとがばやしみじみと」の誤字とする。編者注があり、『本稿は拾遺詩篇「吹雪」の草稿「赤城山の雪」と同一用紙に書かれている』とある。『萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版 吹雪』の注で電子化してあるので見られたい。]
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