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2022/03/29

萩原朔太郎 未発表詩篇 筍

 

 

 

おれは籔の中をさがしあるいた

ぴんと光つた靑竹

そこでもこゝでも

ぴんぴん光つた靑竹(ヤブ)の中を

おれはぐんぐんつきやぶつてすゝんだ

そつと立とまると

いちめんに笹の隙間から

天がまつさをに光つて見えた

ふはふはする土壤のにほひ

堀つくり返すと

地面の下がもつくして

わたのやうにふくらんで居た

おれは憔悴しきつて

むらさきいろの顏をしながら

光る筍のあたまを堀つて居た(みつめて居た)

すばらしく遠い★非常に遠い//遠い遠い★地底どん底から

糸のやうな光線がさして居るのを感じながら

そのとき筍がまたひとつ

そのときさびしい竹藪の中で

生長した筍が

すつぽりと帽子をかぶつて立つて居た

 

[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。「★」「//」は私が附したもので「非常に遠い」と「遠い遠い」が並置残存していることを示す。編者注があり、『本稿前半の下部に、次の七行が書かれている。』として、

   *

ひとり樹下に立ち

あほげばしげる枝→木梢の葉うらから

天がまつさをに光つて居

木の根のひろごり

犬のやうに

地面の下がもつくりして

わたのやうにふくらんで居た

   *

とある。本篇は私が呼ぶところの、所謂、――「竹」詩想――詩篇の一つであり、親和性の強いものは複数あって、私が既に電子化したものでも、さわにある。部分の特定フレーズを変えて私のブログ内に検索をかけると、とてものことに多いので(恐らくは十数篇にはなる)、ここではリンクは張らない。悪しからず。]

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