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2022/03/28

萩原朔太郎 未発表詩篇 無題(あたらしい旅がはじまつた……)

 

 

 

あたらしい旅がはじまつた

わたしは草木のしげみをくゞて

すゞしい流の岸をたにそうて步いた

わた

とりとめもない靑空あほげは高き靑空に

大建築の家根がひるかつた

信心ぶかい巡禮のともだちと鈴をき いた ゝながら

いちやうにゆくゆく鈴をならしながら

あれをみよやみしと

あれ小鳥の

行く人 友は

みよ人々は神をのゆびさしてすところに

わたしはかへらざるものの姿をみた

 

[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。二行目の「くゞて」は「くゞつて」の脱字、六行目の「ひるかつた」が「ひるがへつた」の誤記であろう。以上の二ヶ所を訂正し、削除を消去したものを以下に示す。なお、編者注があり、『以上「(をとめの色は白かつた)」』・『「(わたしはよだれをたらして)」』及びこの『「(あたらしい旅がはじまつた)」の三篇は、同一の原稿川紙に書かれている。』とあり、また、『本稿は未發表詩篇「(わたしどもの風俗は)」と關係がある。』ともある。面倒なので、引用文の中に私のリンクを張っておいた。

  *

 

 

 

あたらしい旅がはじまつた

わたしは草木のしげみをくゞつて

すゞしい流にそうて步いた

あほげは高き靑空に

大建築の家根がひるがへつた

信心ぶかい巡禮のともだちと

ゆくゆく鈴をならしながら

あれをやみしと

みよ人々のゆびさすところに

わたしはかへらざるものの姿をみた

 

  *]

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