萩原朔太郎 未発表詩篇 無題(わたしはよだれをたして……:表記はママ)
○
わたしは石垣の上に座つてゐた
草わたしはよだれをたして
ぺんぺん草の葉芽をつんだかみきつた
わたしはしんじつ貧乏がきらひやうで
わたしやひとりもの
しんじつ死んでもやでござる
わたしや
親は
そんなのよな因緣づくはやでござる
石垣の下で寢でござる
[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。「たして」は「たらして」の脱字であろう。削除を消去した詩篇はプチブル・サクタローそのものの実体暴露のチンケな世迷言で示す気にならない。]
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