萩原朔太郎 未発表詩篇 無題(しらが太夫の卵……)
○
しらが太夫の卵
かみきりむしの眼するやうに
ぽつくりゆびをかみきつた
大きな蟲の しらしらとひか る れるものはびつくりした蟲けらの
大きな蟲の眼玉がとび出した
すばらしいすばらしい
[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。編者注があり、『前の「(頭痛の原因をしらべるために)」と同一原稿用紙の上方に書かれている。本文の冒頭やや離れて「ゑのぐ」と記され、また五行目「大きな眼玉」の上方に「太陽」と記して抹消されている。本稿は未發表詩篇「草の神經」と關係があるか。』とある。「(頭痛の原因をしらべるために)」は、『萩原朔太郎詩集 遺珠 小學館刊 斷片 (無題)(ひとりぼんやり) / 筑摩版全集の「未發表詩篇」にある(無題)(頭痛の原因をしらべるために)の別稿断片と推定』の私の注で電子化してあるので参照されたい。また、「草の神經」の方は、『萩原朔太郎詩集 Ⅴ 遺稿詩集」(小学館版)「第三(『月に吠える』時代)」 草の神經』の私の注で筑摩版全集のそれを電子化してあるので、よろしくどうぞ。
なお、「しらが太夫の卵」の「しらが太夫」についても、そこで私が注を附してあるので、見られたいが、これは、大型の蛾として知られる鱗翅目ヤママユガ科ヤママユガ亜科Saturnia 属クスサン Saturnia japonica の蛹(繭)のことで、「透かし俵」の異名を持つ。但し、私は昆虫は苦手なので、この朔太郎の言う「かみきりむしのするやうに」「ぽつくりゆびをかみきつた」というのは、どういうシーンを指すのか、意味がちょっと判然としない。所謂、繭を食い破って、羽化することを指すものか?]
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