毛利梅園「梅園介譜」 蛤蚌類 糀石 / 腹足類の螺塔の芯を中心とした各種部分の摩耗した殻片
[やぶちゃん注:底本の国立国会図書館デジタルコレクションのここからトリミングした。一部をマスキングしてある。なお、この見開きの丁は、右下に、『町医和田氏藏』『數品』(すひん)、『九月廿二日、眞写』す、という記載がある(ここではその部分を含めてトリミングした)。和田氏は不詳だが、ここで町医師であることが判明する。前の二丁のクレジットの翌日であり、その和田某のコレクションを連日写生したことが判る。従ってこれは、天保五年のその日で、グレゴリオ暦一八三四年五月十二日と考えよい。なお、右上のカメノテは二〇一八年五月二十八日に既に電子化注している。]
糀石(かうぢいし)
町医和田氏藏。數品(すひん)、九月廿二日、眞写す。
[やぶちゃん注:「糀」は「麹」とも書き、もとは「釀立 (かむたち) 」の略「かむち」の音変化したものである。米・麦・大豆などを蒸して、室(むろ)の中にねかせてコウジカビ(菌界子嚢菌門ユーロチウム菌綱 Eurotiomycetesユーロチウム目 Eurotialesマユハキタケ科コウジカビ属 Aspergillus)などの有益なカビを繁殖させたもの。酒・醤油・味醂などの醸造に用いるそれであるが、ここは、そのような色や形に見えるものということで、図からは、腹足類の螺塔の芯を中心とした各種部分の摩耗した殻片である。
因みに、私の愛読書である石狂木内石亭の「雲根志」の全目次を見たが、残念なるかな、「糀石」はなかった。]
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