萩原朔太郎 未発表詩篇 無題(靑火がもえる……)
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生命には靑火がもえる
あらゆるものゝ生命の上に私はもえるところの靑火を見る、
智意は識のワシがその羽はゞきするをするまヘにしばしば觀念はその不動のの小鳥は凍死する、何故ならば意識 は氷山 の 山 頂に巢を食ふところの翼は氷より
この凍死せる固形質を蓄へるとこにより
私は私の共の辨當冷藏庫は光つてくる、
我々
靑火もまた觀念の一種である □□に 故に凝結する、
みよ、「時」の長い喪式列にが寂しげな晚歌くる、黑い憎主の群と合唄する、晚歌のもの哀しい節メロデイにと「觀念」「意識」の亡者がつき鳴らす鐘の響と
いんいんたる行列の音なきあゆみは「終」に丘の上の「詩」の寺をさしてすゝんで行く
「時」の長い喪列は「凍死せる觀念」の屍體をはこぶものである、
そうしてこの光榮ある屍體は私共□人に私共の一同の手によつて葬られ、
そして永生に於て復活される、
[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。編者注があり、『ノートより』とする。削除部を除去して示す。
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靑火がもえる
あらゆるものゝ生命の上にもえるところの靑火を見る、
意識のワシがその羽はゞきをするまヘにしばしば觀念の小鳥は凍死する、[やぶちゃん注:校訂本文は「意識のワシがその羽はゞきをするまヘに」を『意識の鷲がその羽ばたきをするまヘに』と消毒する。]
この凍死せる固形質を蓄へるとこにより[やぶちゃん注:校訂本文は「とこ」を『こと』とする。]
私共の冷藏庫は光つてくる、
みよ、「時」の長い喪列がくる、黑い憎主の群と合唄する、晚歌のもの哀しいメロデイと「意識」の亡者がつき鳴らす鐘の響と[やぶちゃん注:校訂本文は、「喪列」を「葬列」に、「合唄」を「合唱」、「晚歌」を「挽歌」とする。]
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