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2022/03/30

萩原朔太郎 未発表詩篇 (ちつぽけな……)

 

 

 

ちつぽけな

とげの生えた魚の子が

ちよろちよろと木にのぼつた

その木にさくらは銀いろの花をつけ

海はまつさをに光つて居た

この光る炎天の風景にひるがへる

浪々の穗の白き見 ゆる丘の上 の→を に太陽〉

遠き太陽をこえて

浪々の穗は白日の丘の上 をこえ

魚は いつぴきの魚がひつそりとすぎゆくパンのけはひし

魚はするどくさけびはじめた、ぴちぴちと鳴いて居たきそめ。

 

[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。編者注があり、『用紙の下方にやや離れて「陣□魚」「つめた貝」と書かれている』とある。「陣□魚」(中央は判読不能字)は意味不明。崩し字で「陣」ではない可能性があるか。

 なお、本篇には『草稿詩篇「未發表詩篇」』に『(ちつぽけな)』『(本篇原稿二種二枚)』として、一種がチョイスして示されてある。以下に示す。同じく表記は総てママである。

   *

 

  

ちつぽけな

するどい

とげの生えた魚の子が

ちよろちよろと木にのぼつた

その木にさくらは銀いろの花をつけ

海はまつさをに光つて居た

この光る炎天にてらされて

まつぴるまに

木の上の魚は

するどく泣 いたのである、いて居た、

ああはるはると聲をあげて 空にくるめきつゝ

しみじみと淚をながして

風景は

この 南洋のまつぴるまに

しみじみと淚をながして

魚は にんげんは

太陽

とうとうとうたる遠瀨の音 ばかり もたえ

ゆめみる赤道の そのときこのあたりの砂原をこの光る風景砂の上を

ひつそりとすぎゆくPANのけはひ

まつぴるの風景の中に

魚はするどくまつすぐに立ちあがつた

 

   *

「PAN」は一字づつ縦書。編者注があり、『抹消部分、插入部分が多く、順序がはっきりしない。また、用紙の冒頭下方に、次の敷行が記されている。』とあり、

   *

この光る炎天にさらされて

遠い風景

ゆく舟見える舟の帆みゆる遠海に

いつぴきの魚の子が

樹上にするどくたつて泣いて居た

   *

とあり、さらに『用紙の左上方離れた所に、「つめた貝」と書かれている。』とある。]

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