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2022/03/27

萩原朔太郎 未発表詩篇 無題(ああ石をとばせ おんみに……)

 

 

 

夜行して 夜行して

家々の窓の下にしのびより

夜行して夜行して

遠海に鳥

ああ石をとばせ おんみに

われは かの

たとへ 善人 と雖も であ ることを りと信ぜよ

おんみ自身が 健康であると信じたまヘ

おんみ自身の幸福を信じたまヘ

たとへば盜賊でさへもの一隊でさへ

夜は//日くれて ★おんみを盜まぬであろう路を→欲望を出窓 をや守らんよじのぼるすぎ去りてるがに[やぶちゃん注:「★」「//」は私が附した。「月夜は」と「日くれて 」(この字空けは特に編者注で示されてある)が二行並置残存していることを示す。]

ゆめあしきくわだてをばたくらむまじ

さてもあまつさへおんみはいつでもつねに明がるくして

滑めらか、 うつくしくしてほがらかに、なめらかに、その肌にもつやうつくしく

おのおのの指には化粧にし

腰にはうすき絹をまきしめ

は足袋をはきにはくりーむをぬりたまへば

實に男の心をとかすにたるの淫亂なれども

たれかおんみの疾患をまことに思ふべき

おほかの祈りおほかたよそ のことはあるまじ われが戀する□より おんみにまさりて 樂し 善根なる人はあるまじきぞ、

われらおんみを戀する故に

おんみのかくいひておんみの健康を祀れる祝するなり、

おんみ や→に→よ、 かの

 

[やぶちゃん注:底本は筑摩版「萩原朔太郞全集」第三巻の「未發表詩篇」の校訂本文の下に示された、当該原稿の原形に基づいて電子化した。表記は総てママである。

編者が補正するように、後ろから五行目の「おほかの祈り」の「おほか」は「おほかた」の脱字であろう。それを一旦は訂したものの、その表現を別に変えたのであろうとは推定出来る。また、十三行目の「さてもあまつさへおんみはいつでもつねに明がるくして」の「明がるく」は「明かるく」の誤りであろう。後者の訂正を採用し、削除部分を除去すると、

  *

 

 

ああ石をとばせ おんみに

おんみ自身が健康であると信じたまヘ

おんみ自身の幸福を信じたまヘ

たとへば盜賊の一隊でさへ

夜はおんみの出窓をすぎ去るがに

[やぶちゃん注:或いは行頭が以下の孰れか。]

日くれて おんみの出窓をすぎ去るがに

ゆめあしきくわだてをばたくらむまじ

あまつさへおんみはつねに明かるくして

ほがらかに、なめらかに、その肌にもつやうつくしく

おのおのの指には化粧にし

腰にはうすき絹をまきしめ

足にはくりーむをぬりたまへば

實に男の心をとかすにたるの淫亂なれども

たれかおんみの疾患を思ふべき

おほよそおんみにまさりて善根なる人はあるまじきぞ、

われらおんみを戀する故に

かくいひておんみの健康を祝するなり、

 

   *

となる。草稿などもない。]

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