萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版 「廣瀨河畔を逍遙しつつ」・「父の墓に詣でて」・「昔の小出新道にて」について / 萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版~了
私の『萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版』は順序から言うと、最後の三篇「廣瀨河畔を逍遙しつつ」・「父の墓に詣でて」・「昔の小出新道にて」となるが、実はこの三篇は、その全部が、筑摩版全集の編集者が初出(後述)の当該無題詩篇の後書を仮題としてここに抜き書きしたものであり、この初出は詩集「宿命」の散文詩の最後に配されてある「物みなは歲日と共に亡び行く」(添え辞「わが故鄕に歸れる日、ひそかに秘めて歌へるうた」)に挿入されてある詩篇なのである。
この随想風散文詩は、昭和一二(一九三七)年十二月号『藝苑』が初出なのであるが、筑摩版全集では、初出欄にあるものは、それを萩原朔太郎の好意で転載した昭和一三(一九三八)年二月号『四季』再録版から起こされてある(この辺には全集初版の記載に激しい不審があるのだが、それは以下のリンク先を読まれたい)。
これは、名作詩群「鄕土望景詩」を抜粋しながら(新詠も含む。後の初出参照)、往時と現在の懸隔を傷むノスタルジアに富んだ特異な作品であり、既に、
萩原朔太郎詩集「宿命」「散文詩」パート(「自註」附) 物みなは歲日と共に亡び行く
で、電子化注してあるので、そちらを見られたい。
さても、これを以って狭義の分かち書き詩篇の『萩原朔太郞「拾遺詩篇」初出形 正規表現版』は完遂した。
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