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2022/04/05

毛利梅園「梅園介譜」 蛤蚌類 竹蟶(タケノコ貝) / タケノコガイ・ウシノツノガイ

 

[やぶちゃん注:底本の国立国会図書館デジタルコレクションのここからトリミングした。一部、マスキングした。なお、この見開きの丁は、右下に、『町医和田氏藏』『數品』(すひん)、『九月廿二日、眞写』す、という記載がある。和田氏は不詳だが、ここで町医師であることが判明する前の二丁のクレジットの翌日であり、その和田某のコレクションを連日写生したことが判る。従ってこれは、天保五年のその日で、グレゴリオ暦一八三四年五月十二日と考えよい。なお、右上のカメノテは二〇一八年五月二十八日に既に電子化注している。]

 

Umitake

 

「漳州府志」に曰はく、

   竹蟶【「たけのこ貝」・「うみたけ」。】 二種。

 

「八閩通志(はちびんつうし)」、

   泥笋【「うみたけ」。】

 

[やぶちゃん注:「二種」とした梅園の判断は正しい。まず、左と右下方の二個体は、

腹足綱前鰓亜綱新腹足目イモガイ超科タケノコガイ科タケノコガイ属タケノコガイ Terebra subulata

に比定してよいだろう。右上の一個体は、

同属ウシノツノガイTerebra areolata

としてよいように私には思われる。

「漳州府志」(しょうしゅうふし)清乾隆帝の代に成立した現在の福建省南東部に位置する漳州市一帯の地誌。しかし、そこに出る「竹蟶」は恐らく、斧足綱異歯亜綱 incertae 目マテガイ上科マテガイ科マテガイ Solen strictus である。それは、フライングしている『毛利梅園「梅園介譜」 マテガイ』でも、梅園は同じ出典引用をしており、しかも、現代中国でも「竹蟶」はマテガイを指すので、誤認と思う。にしても、写生時日が違うとは言え、マテガイの方は、この二年後の天保七年の写生で、この同名異物の放置は、ちょっとひど過ぎると思うね、梅園さんよ!

「うみたけ」現行では斧足綱異歯亜綱オオノガイ目ニオガイ超科ニオガイ科ウミタケ属ウミタケ Barnea dilatata に与えられており、以下を見ても、「泥沙中に生ず」とあるからには、まず、「八閩通志」は勿論のこと、原文を確認出来ないが、「漳州府志」の方も、既にして、このウミタケの仲間を指していることは、私は諸条件から見て自明であると考えている。それは、先輩の栗本丹洲が、文化八(一八一一)年に完成させた『千虫譜』「栗氏千蟲譜」の巻九(リンク先は巻九の私の古いサイト版電子化注)で、これを正しくウミタケに同定し、見事な写生図をものしていることからも明らかであるからである。

「八閩通志」(はちびんつうし)明の黄仲昭の編になる福建省(「閩」(びん)は同省の略古称)の地誌。福建省は宋代に福州・建州・泉州・漳州・汀州・南剣州の六州と邵武・興化の二郡に分かれていたことから、かくも称される。一四九〇年跋。全八十七巻。巻之二十五に『泥筍其形如筍而小、生泥沙中。』とある。こりゃ、確実にウミタケだぜ? 梅園さんよ!

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