甲子夜話卷之七 4 林子の常に從事する所を問事 / 5 前人寓意の事
4―4
林蕉軒に常に志して從事する所を問ものあり。答云。文武、和漢、古今、雅俗。この今と俗と云ところ、深く咀嚼すべし。又娛樂する所を問へば、答云。風月、山水、詩歌、管絃。
■やぶちゃんの呟き
「林蕉軒」お馴染みの林述斎。
4-5
前人一時寓意の聯あり。
醜石ト與二雜花一、此レハ是レ爲二我ガ家之大弓寶玉ト一。
素弦又淸管、或ハ以謂二老子之醇酒婦人ト一。
これは「蕉軒集」外の文なれば錄す。
■やぶちゃんの呟き
訓読しておく。
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醜石(しうせき)と雜花(ざつくわ)と、此れは、是れ、我が家の大弓(だいきゆう)・寶玉と爲(な)す。
素弦(そげん)、又、淸管、或いは、以つて、老子の醇酒(じゆうしゆ)・婦人と謂へり。
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「聯」はここでは「対句」の意。
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