「和漢三才圖會」卷第二十一「兵器 征伐」の内の「長脚鑚」
「和漢三才圖會」卷第二十一「兵器 征伐」の内の「長脚鑚」
[やぶちゃん注:〔○○〕や〔→○○〕は、表字・訓読が不完全で私がより良いと思う表字・訓読、或いは送り仮名が全くないのを補填したものを指す。]
[やぶちゃん注:キャプションは、右から「鐵把(ツクボウ)」・「長脚鑚(サスマタ/コトヂ)」・「狼牙棒(モジリ)」。「ジ」はママ。]
さすまた 長脚鑚
ことぢ 【左須末太
長脚鑚 又琴桂棒】
鐵把
【今云釚棒】
狼牙棒
【今云毛知利】
三才圖會有長脚讃鐵把狼牙棒之圖曰植釘於上如狼
牙者名狼矛棒又無刄而鉤者曰鐵抓
△按長脚鑚有叉可以挾敵【曰剌叉】形似琴柱【故名古止之】鐵
把今云釻棒也鐵抓今云熊手【詳于農具項】狼牙棒今云錑
棒也以上關守門番必用之不强傷抮捕以徽索可虜
*
さすまた 「長脚鑚〔(ちやうきやくさん)〕」。
ことぢ 【「左須末太〔(さすまた)〕」。
長脚鑚 又、「琴桂棒〔ことじぼう〕」。】
「鐵把〔(てつは)〕」。
【今、云ふ、「釚棒〔(つくぼう)〕」。】
「狼牙棒〔(らうが)〕」。
【今、云ふ、「毛知利〔(もぢり)〕」。】
「三才圖會」、「長脚讃」・「鐵把」・「狼牙棒」の圖、有りて、曰はく、『釘を上に植ゑ、狼の牙のごとき者、「狼矛棒〔(らうむぼう)〕」と名づく。又、刄〔(は)〕無くして、鉤(ひつか)くる者、「鐵抓〔(てつさう)〕」と曰ふ。』と。
△按ずるに、「長脚鑚」は、叉(また)有りて、以つて、敵を挾む【「剌叉(さすまた)と曰ふ。】。形、琴柱(ことぢ)に似たり【故に「古止之」と名づく。】。「鐵把」は、今、云ふ「釻棒(つく《ぼう》)」なり。「鐵抓」は、今、云ふ「熊手」〔なり〕【「農具」の項に詳らかなり。】。「狼牙棒」は、今、云ふ「錑り〔→(もぢ)り〕棒」なり。以上、關守・門番、必〔(かならず)〕、之れを用ふ。强〔(しひ)〕て傷せず、抮捕〔(ねじりとらへ)〕、徽索(はやなわ[やぶちゃん注:ママ。])を以つて虜(いけど)るべし。
[やぶちゃん注:「三才圖會」本書が明の李時珍の「本草綱目」以上に引用・体裁を意識した絵を主体とした類書(百科事典)。明の一六〇七年に完成し、二年後の一六〇九年に出版された。王圻(おうき)と、その次男の王思義によって編纂された。全百六巻。本篇の指示するそれは、「器用」第六巻及び八巻。国立国会図書館デジタルコレクションの原本で、「長脚讃」と「鐵把」はここ(後者は「鐵扒」(「扒」(音「ハツ」は「搔く」の意)となっているのがそれであろう)、「狼牙棒」の図はここである。
「釻」この「つく」は訓であるが、「突く」の意ではなく、「担ぎ棒の両端にある突起」を指す。]
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