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2022/09/07

毛利梅園「梅園介譜」 蛤蚌類 䀋(シホ)シリ貝 / タテジマフジツボ

 

[やぶちゃん注:底本の国立国会図書館デジタルコレクションのここからトリミングした。データとクレジットは左丁の左下に、「以上勢州二見浦産 所藏」「丙申年二月大生氏勢刕大神宮拜詣帰𨊫爲土産予送之眞寫」とある。最後の「砑螺・ツメタ貝」で考証・訓読して注をするが(「𨊫」は中文サイトで「乃」の異体字とあるのを漸く見つけた)、謂うところは、「この見開きに描いた個体群は、総て、伊勢の二見ヶ浦産で、現在は私自身の所蔵になるものであるが、もとは私の知人の大生氏(読みは現代仮名遣で「おおばえ」・「おおう」・「おおぶ」・「おおしょう」などがある)が、伊勢神宮を参詣して帰るに際し、土産として私に送って呉れたもので、それを写生した。」ということのようである。]

 

Sihosirigai

 

「百貝圖」

   䀋(しほ)しり貝

 

[やぶちゃん注:」の字はピッタリくる異体字が見つからないので、最も近いものに代えた。底本では、下部全面が「皿」、上部は=(左側:「比」の字の(へん)部)+(右側:「<」左下がりにしたものを上に、その下に「囗」の中に「タ」、そのさらに下に「亠」)である。

 まず、「しほ尻」は「塩尻」で、小学館「日本国語大辞典」に、『塩田で、砂を円錐形に高く積み上げて、塚のようにしたもの。これに海水をかけて、日にかわかして、塩分を固着させる。』とあり、ご存知の通り、富士山のなりをした海浜の砂などによって形成された自然物や銀閣寺の庭の銀沙灘の近くにある向月台のように、富士山を模倣しかのような庭園の人工物のそれなどを広く指す。また、「広辞苑」には、以上の内容に続いて、『②擂鉢(すりばち)の異称。』ともある。而して、形状を見るに、まず、

節足動物門甲殻亜門六幼生綱鞘甲(フジツボ)亜綱蔓脚下(フジツボ)綱完胸上目無柄目フジツボ亜目 Balanomorpha の周殼

であることは間違いない。しかも、白地に青紫の縦縞を持ち、表面が平滑であることから、私は、

フジツボ亜目フジツボ上科フジツボ科フジツボ( Amphibalanus :シノニム Balanus )属タテジマフジツボ

に同定してよいと思われる。殻口が鞍型になっているが、周殻上部が一様に幅を持って白くそげて見えることから、これは損壊したものと考えられる。

「百貝圖」何度も出てくるが、再掲しておくと、寛保元(一七四一)年の序を持つ「貝藻塩草」という本に、「百介図」というのが含まれており、介百品の着色図が載る。小倉百人一首の歌人に貝を当てたものという(磯野直秀先生の論文「日本博物学史覚え書」(『慶應義塾大学日吉紀要』(第三十号・二〇〇一年刊・「慶應義塾大学学術情報リポジトリ」のこちらからダウン・ロード可能)に拠った)。]

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