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2022/10/16

鈴木正三「因果物語」(片仮名本(義雲・雲歩撰)底本・饗庭篁村校訂版)「目錄」+「愛知芸術文化センター愛知県図書館」公式サイト内「貴重和本ライブラリー」所収初版板本最後に載る僧報慈の「跋文」 / 「因果物語」オリジナル電子化注~了

 

[やぶちゃん注:「目錄は、所持する明治四四(一九一一)年冨山房刊の「名著文庫」の「巻四十四」の、饗庭篁村校訂になる「因果物語」(平仮名本底本であるが、仮名は平仮名表記となっている)を使用したが、それと全く同じものが、国立国会図書館デジタルコレクションのこちらにあり、サイド・パネルに漢字のみの目次が電子化されてあるので(但し、新字体)、それを加工データとさせて貰った。但し、難読と判断したもの、読みが振れるもののみに限って読みを添えた。前で一度ふったものと同じ場合は、原則、附さないこととした。通し番号の「十一」以下は底本では半角であるが、全角で示した。

 各話へのリンクは附さないが、この目録と、別にブログ・カテゴリ「続・怪奇談集」を開いて並べて戴ければ、容易に当該話にジャンプ出来る。なお、本文と送り仮名や漢字などの表記の異なるものが多くあるが、そのままとしておき、注も附さない。因みに、「付」(本文内では「附」の右寄せポイント落ち表記)は読みはふられていないが、「つけたり」と読む。なお、本文でもそうであるが、「中」(ちゅう)の読みを「ちう」とするが、正確には、正しい「中」の現在の音「チュウ」の歴史的仮名遣は、「ちう」ではなく、「ちゆう」であることは、ここに指摘しておきたい。

 さらにその後に、参考追加資料として、本底本には存在しない、「愛知芸術文化センター愛知県図書館」公式サイト内の「貴重和本ライブラリー」のこちらで視認出来る初版板本(一括PDF)の最後(8687コマ目)にある跋文(カタカナ漢字交りの表記)を本底本に合わせて、ひらがな漢字交りに訓読したものを(読点を自由に追加した。読みに関しては同前)、アスタリスク三点以下に示すこととし、オリジナル電子化注の最後の手向けの花とした。当初は一部、タイピングのため、時間がかかると踏んだのだが、結局、概ね、これだけに集中作業した結果、「怪奇談集」電子化注の短期完成の記録を、今回も、十六日と、また、最短期間更新をした。

 

因果物語 目 錄

 

     上  卷

一、亡者人に便(たより)て吊(とむらひ)を賴む事夢中に吊を賴む事

二、幽靈夢中(むちう)に僧に告(つげ)て塔婆(たふば)を書直す事經書寫(きやうしよしや)を請(こ)ふ事

三、幽靈夢中に人に告げて僧を請(しやう)ずる事血脈(けちみやく)を乞ふ事

四、人を詛(のろ)ふ僧忽ち報いを受(うく)る事火炙(ひあぶ)りの報いの事

五、妬(ねた)み深き女(をんあ)死して男を取殺(とりころ)す事死して蛇(へび)と成り男(をとこ)を卷く事

六、妬み深き女死して後(のち)の女房を取殺す事下女を取殺す事

七、下女(げぢよ)死して本(もと)の妻を取殺す事主人の子を取殺す事

八、愛執(あいしふ)深き女忽ち蛇體(じやたい)と成る事夫婦蛇(ふうふへび)の事

九、夫(をつと)死して妻を取殺す事

十、罪(つみ)無(な)うして殺さるゝ者怨靈と成る事

十一、女生靈(いきりやう)夫に怨(あだ)を作(な)す事

十二、塚燒る事付塚より火の玉飛び出る事

十三、生(いき)ながら地獄に落(おつ)る事精魂(せいこん)地獄に入(い)る事

十四、弟(おとゝ)の幽靈兄に怨を成す事兄婦(あによめ)に付く事

十五、先祖を吊(とむら)はざるに因(よつ)て子に生れ來(き)て責(せむ)る事孫を喰(くら)ふ事

十六、難產にて死したる女幽靈と成る事鬼(おにご)子を產む事

十七、幽靈來(きた)つて禮を云ふ事不吉を告(つぐ)る事

十八、幽靈來りて藏(くら)を守る事亡父(まうふ)子(こ)に告(つげ)て山を返す事

十九、善根(ぜんこん)に因(よつ)て富貴(ふうき)の家に生るゝ事

二十、臨終よき人の事

      中  卷

一、神明利生(りしやう)の事御罰(ごばつ)の事

二、佛像を破り報いを受(うく)る事堂宇塔廟を破り報いを受る事

三、起請文(きしやうもん)の罰の事

四、親不孝の者(もの)罰を蒙(かうむ)る事

五、二升(ふたます)を用ふる者雷(らい)に摑(つかま)るゝ事地獄に落(おつ)る事

六、食(しよく)を踈(おろそか)にして家(いへ)亡(ほろぶ)る事

七、鳩(はと)來り御劍(ぎよけん)を守り居(ゐ)る事神前(しんぜん)の刀(かたな)にて化物(ばけもの)を切る事

八、石塔(せきたふ)人に化(ばけ)る事

九、鳩の愛執(あいしふ)の事

十、母鳥(はゝどり)子(こ)の命(いのち)に替る事猿(さる)寺に來り子(こ)の吊ひを賴む事

十一、鷄(にはとり)寺入(てらいり)する事

十二、鯰(なまず)人の夢に告(つげ)て命を乞ふ事牛(うし)夢中に命の禮(れい)を云ふ事

十三、馬(うま)の物言(ものい)ふ事犬の物言ふ事

十四、蛇(へび)人へ遺恨を成す事犬猫(いぬねこ)の遺恨の事

十五、蝮(まむし)に呑(のま)れ蘇生する者の事[やぶちゃん注:この「蝮」は大蛇の「蟒蛇」(うわばみ)の意。]

十六、大河(たいが)を覺へず走る事[やぶちゃん注:「覺へず」はママ。以下の「廿九」も同じ。]

十七、雪石(せつせき)夢物語りの事

十八、實盛(さねもり)或僧に錢甕(ぜにがめ)を告(つぐ)る事

十九、產(うま)れ子(こ)の死したるに註(しる)しを作(な)して再來を知る事

二十、幽靈來りて算用する事布施配る事

廿一、亡母(まうぼ)來りて娘に養生を敎(をしふ)る事夫の幽靈女房に藥を與ふる事

廿二、亡者錢(ぜに)を取り返す事鐵(くろがね)を返す事

廿三、幽靈來りて子を產む事亡母子(こ)を憐(あはれ)む事

廿四、生れ子(こ)田地を沙汰する事生れ子親に祟る事

廿五、常に惡願(あくぐわん)を起(おこ)す女人(によにん)の事母子(ぼし)互(ただひ)に相憎(あひにく)む事

廿六、幽靈と問答する僧の事幽靈と組む僧の事

廿七、蘇生の僧四十九の釘(くぎ)の次第を記(しる)す事

廿八、卒塔婆(そとば)化(け)して人に食物(しよくもつ)を與(あたふ)る事

廿九、夙因(しゆくいん)に依つて經を覺へざる事

三十、畜生人(ひと)の恩を報ずる事

卅一、犬(いぬ)生(うま)れ僧と成る事

卅二、殺生の報いの事

卅三、馬の報いの事

卅四、乞食(こつじき)を切(きり)て報いを受(うく)る事

卅五、幽靈刀(かたな)を借(かり)て人を切る事

卅六、精靈棚(しやうりやうだな)を崩されて亡者寺(てら)に來(きた)る事

     下 卷

一、閻魔王より使ひを受(うく)る僧の事長老魔道に落る事

二、亡者引導師により輪回(りんえ)する事引導坊主に就き行(あり)く事

三、生(いき)ながら牛と成る僧の事馬の眞似する僧の事

四、生ながら女人と成る僧の事死後女人と成る坊主の事

五、僧の魂(たましひ)蛇(へび)と成り物を守る事亡僧(ばうそう)來りて金(かね)を守る事

六、知事(ちじ)の僧(そう)鬼(おに)に打るゝ事弟子を取殺す事

七、僧の口より白米(はくまい)を吐く事板挾(いたばさみ)に逢ふ僧の事

八、無道心の僧亡者に責(せめ)らるゝ事破戒の坊主雷(らい)に逢ふ事

九、怨靈と成る僧の事

十、座頭(ざとう)の金(かね)を盜む僧盲(めくら)と成る事死人(しにん)を爭ふ僧機違(きちが)ふ事

十一、惡見(あくけん)に落(おち)たる僧自他(じた)を損(そん)する事

十二、愚痴の念佛者(ねんぶつしや)錯(あやま)つて種々(しゆじゆ)の相(さう)を見る事

十三、第二念を起(おこ)す僧(そう)病者に若(く)を授(さづ)くる事

十四、破戒の坊主死して鯨(くじら)と成る事姥(うば)猫と成る事

十五、死後(しご)犬と成る僧の事犬と成る男女(なんによ)の事

十六、死後馬(むま)と成る人の事牛と成る人の事

十七、人の魂(たましひ)死人(しにん)を喰(くら)ふ事精魂(せいこん)寺に來(きた)る事

十八、女の魂(たましひ)蛇(へび)と成り夫(をつと)を守る事餅(もち)鮎(あゆ)を守る事

十九、五輪(りん)の間(あひだ)に蛇有る事

二十、愛執深き僧蛇と成る事

廿一、慳貪者(けんどんしや)生(いき)ながら餓鬼の報いを受(うく)る事種々(しゆじゆ)の若(く)を受る事

   目錄を安ずるに、因て、年代を前後す。又、當時、現存する人、其名を除く者、多也。

[やぶちゃん注:最後の添え辞の最後の読みは「多きなり」であろう。]

 

   *   *    *

 

師、平日(へいじつ)、人(ひと)、耒(き)たり、右の如き事を語るを聞く毎(ごと)に嘆じて曰はく、「かほど大事なることを知らず、人毎(ひとごと)に死ねば、なにも無きやうに思ひ、後世(ごせ)を恐れる人、なく、𢙣(あく)を愼む者、なし。扨々(さてさて)、笑止千万也。」。亦、曰はく、「是(か)くの如くの物語(ものかたり)を聞(きゝ)ても、恐(をそる)る心なきは、業障(ごふしやう)の深き故(ゆへ)也。」と云云。誠(まこと)に此の書を余所(よそ)に見るは、愚(おろか)なる心(こゝろ)なり。皆、是れ、人々(にんにん)、一念上(ねんしやう)の事(じ)也。念力の作(な)す処(ところ)、右、種々(しゆじゆ)の事(じ)を見て、自己を慚愧(さんぎ)すべし。「經(きやう)」に曰(《いはく》)、『假使(たとひ)、百千劫(ひやくちんがう)、作(つく)る所《ところ》の業(がふ)は亡《ほろ》びず。因緣(いんゑん)の會遇《えゑぐう》の時(とき)、果報、還(かへ)りて、自(おのづか)ら受く。』と說(と)き玉(《たまふ》)。此の文(もん)を信(しん)にして、𢙣(あく)をも成すべからず。况んや、亦、一念、纔(わづか)に生(しやう)すれば、生死(しやうじ)に輪廽(りんね)して、永刧(やうがう)、浮ぶこと、無し。誰(たれ)か、是(これ)を悲しまざらんや。此の外(ほか)、何ことか大事あらんや。是(かく)の如く、見得(けんとく)して心頭(しんとう)に眼(まなこ)を著(つ)けば、此の書の本意(ほんい)なり。若(も)し又、自己(じこ)を忘れて、他(た)の事となさば、佛祖も亦、救ふこと、得(ゑ)ず。甚だ、懼るべし。開板助縁 報慈比丘書

 

[やぶちゃん注:句読点や記号は私が打った。歴史的仮名遣の誤りはママ。読みの一部を送り仮名に出した。《 》部分は、汚損が激しいため、推定での読みを示したもの、或いは欠損している読みを振ったもの。「經に曰」はく、の「經」は「華厳経」の一節である。冒頭の書き出しから、筆者の報慈(ほうじ)という僧は鈴木正三の弟子の僧である。]

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