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2022/10/09

鈴木正三「因果物語」(片仮名本(義雲・雲歩撰)底本・饗庭篁村校訂版) 中卷「三十四 乞食を切りて報いを受くる事」

 

[やぶちゃん注:底本は、所持する明治四四(一九一一)年冨山房刊の「名著文庫」の「巻四十四」の、饗庭篁村校訂になる「因果物語」(平仮名本底本であるが、仮名は平仮名表記となっている)を使用した。なお、私の底本は劣化がひどく、しかも総ルビが禍いして、OCRによる読み込みが困難なため、タイピングになるので、時間がかかることを断っておく。なお、所持する一九八九年刊岩波文庫の高田衛編「江戸怪談集(中)」には、本篇以下の中巻の「二十九」から最後の「三十六」及び附記までは全く収録されていない

 なお、他に私の所持品と全く同じものが、国立国会図書館デジタルコレクションのこちらにあり、また、「愛知芸術文化センター愛知県図書館」公式サイト内の「貴重和本ライブラリー」のこちらで、初版板本(一括PDF)が視認出来る。後者は読みなどの不審箇所を校合する。

 本文は饗庭篁村の解題(ルビ無し)を除き、総ルビであるが、難読と判断したもの、読みが振れるもののみに限った。]

 

   三十四 乞食(こつじき)を切りて報いを受くる事

 江州にて、さる侍の子供、十五歲、十八歲の人、常々、等閑(とうかん)なく咄(はな)しけるが、或時、兩人、町へ出で、乞食(こつじき)居(ゐ)けるに向つて、

「其樣(そやう)にて居たるより、死(しに)たくはないか。」

と問ひければ、

「尤もなり。死(しに)たし。」

と云ふ。

「然(さ)あらば。」

とて、既に切らんとす。

 時に、

「いやいや、死(しに)たくもなし。無埋に殺し給はゞ、祟るべし。」

と云へども、聞かず、終(つひ)に切りたり。

 扨(さて)、十日も過(すぎ)ざるに、兩人、少しの遺恨にて、討果(うちはた)しけり。

 後に聞けば、文(ふみ)の返事せざりし遺恨と、知れたり。

 諸人(しょにん)、

「乞食(こつじき)の報いなり。」

と、云ひあへり、となり。

[やぶちゃん注:「等閑(とうかん)なく」日頃より非常に親しくして、心安い関係の者同士で。]

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